経営企画室長メッセージ
マテリアリティをPSV-27計画に有機的に結び付け、
社会との共通価値を創造するサステナビリティ経営を推進します
上席執行職 経営企画室長
新井 孝輔
企業ビジョン実現までの道筋を示し、PSV-27計画と一体となったマテリアリティへの取り組みを加速
PSV-27計画の開始にあたり、クリタグループは、サステナビリティを自然環境や社会システムの中に企業活動を位置づけ、それらとの相互影響を踏まえて持続的な成長を図ることであると捉え、サステナビリティを経営の中核に据えることを宣言しました。そして、その経営の目指す成果として2030年のあるべき姿を企業ビジョンとして掲げています。このビジョン実現のための重要課題として設定したのが「クリタグループのマテリアリティ」です。
マテリアリティは、サステナビリティに関するグローバルな課題がクリタグループの企業価値に与える影響と、クリタグループが社会・環境に与える影響という2つの軸で特定され、3つの共通価値テーマと、5つの基礎テーマから構成されています。マテリアリティの各テーマの取り組みは、共通価値テーマにおいては主に社会との共通価値の創造に直結する役割を、基礎テーマにおいてはその価値創出を支える役割を担っています。サステナビリティ経営を目指すクリタグループにとって、マテリアリティへの取り組みはPSV-27計画の事業戦略や機能戦略と非常に密接に関係しているものです。そのため、マテリアリティ解決に向けた取り組みをPSV-27計画の戦略に組み入れるとともに、これらの関係性と企業ビジョン実現までの道筋を「Value Pioneering Path」として示しています。この策定と周知を図った前期に続き、2025年3月期は理解浸透に注力しました。経営層と従業員の対話や職場ダイアローグを通して、従業員一人ひとりがValue Pioneering Pathに基づき、自身の業務とグループの成長や社会貢献との結びつきを考えることで、グループ全体で事業活動との一体化を推進しています。
マテリアリティへの取り組みが、高い社会価値を創出し、企業価値を向上させる
サステナビリティ経営戦略室のミッションはサステナビリティ経営の実効性を高めていくことです。そのためには、事業活動においてマテリアリティに対する意識を一層高めるとともに、高い社会価値を創出する基盤を強化し、価値提供を加速していくことが重要だと考えています。
マテリアリティの基礎テーマである、公正な事業活動や人権尊重などの企業としての義務を徹底して果たすことは、ステークホルダーの共感を獲得するとともに資本コストを低減させ、企業価値の毀損を防止しています。また、機能戦略や人材戦略に関わる基礎テーマへの取り組みを通じて、顧客価値を起点としたトランスフォーメーションと社会価値を起点としたイノベーションを促進することで、競争優位性を強化しています。この競争優位性を体現するビジネスがCSVビジネスであり、その拡大展開は共通価値テーマにおける重要な取り組みの一つです。クリタグループだからこそ創出できる社会価値を提供し、私たち自身も高い経済価値を獲得することで、高収益企業として持続的に成長していくことを目指していきます。
社会との共通価値を創造するCSVビジネスを拡大していく
水処理事業は、それ自体が社会価値を創出するものですが、クリタグループは「より高い価値」の創出にこだわり、従来の技術や競合他社の技術に比べ節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量削減に大きく貢献する製品・サービスを「CSVビジネス」と定め、開発に注力しています。CSVビジネスは高い社会価値を提供することはもとより、水やエネルギーの使用量削減などを通してお客様の利益向上にも貢献するものであり、その価値を認められ収益性の高いビジネスモデルとして進化しています。2025年6月末時点のCSVビジネスのモデル数は114モデルであり、PSV-27計画開始時から50モデル以上増加しました。CSVビジネスに選定されたモデルについては、サステナビリティ推進委員会が、各モデルの社会価値の発揮状況や経済価値の獲得状況を定期的に検証し、CSVビジネスとしての妥当性を精査することで、ビジネスモデルとしての競争優位性を維持・向上させています。
マテリアリティへの取り組み状況と今後のアプローチ
CSVビジネスは、これまで順調に規模を拡大させるとともに、想定を上回る収益性を確保できています。社会価値については、エネルギー価格の高騰を背景に、燃料削減に寄与するソリューションへのニーズの高まりも受け、GHG削減貢献量は当初の計画を上回るペースで進捗し、2028年3月期目標を上方修正しました。
一方、節水貢献量と資源化貢献量・資源投入削減貢献量については目標達成に向け、取り組みをさらに加速する必要があります。サステナビリティ推進委員会では共通価値テーマごとの分科会を組成し、バリュー・プロバイディング戦略本部と連携して、創出価値の大きいCSVビジネスの拡大展開や新たなモデル創出の取り組みを強化しています。
CSVビジネス以外にも、事業活動で生じる環境負荷の低減にも取り組んでいます。その一環として、気候変動や自然資本に関するリスクと機会を適切に把握するためにTCFDやTNFDへの対応を進めています。また、水に関わるイニシアチブにも参画しており、水のスチュワードシップを推進する国際認証機関である Alliance for Water Stewardshipと協働し、日本での水資源保全の啓発活動を実施するJapan Water Stewardshipを立ち上げました。これらの取り組みを通じて、自然環境・社会とクリタグループ双方のポジティブインパクトを最大化し、企業価値向上に繋げる取り組みも推進しています。その具体例の一つがScope3の削減です。クリタグループでは、GHG排出量のほとんどをScope3が占めており、Scope3削減が気候変動対策のカギを握ります。Scope3の多くは水処理装置に用いられるポンプなどの回転機の電力由来です。半導体産業の旺盛な設備投資を背景に装置案件の受注水準が高い状況でもScope3を削減していくため、水処理装置の設計の最適化や運転の効率化を進めるとともに、低炭素化に資する技術導入についても検討し、削減を着実に推進していきます。なお、2025年4月にはSBT認定を取得しており、ステークホルダーからの信頼獲得やサステナビリティに関心の高いお客様からの事業機会の創出にも繋げていきます。
企業理念を拠り所に、社会とともに成長する企業へ
2025年4月から新たにサステナビリティ経営戦略室を設置し、全社的な経営戦略・経営計画に関わる機能と、新たなCSVビジネスの創出や新規事業を構想するための知財機能やインテリジェンス機能も集約しました。マテリアリティへの取り組みを通じて高い社会価値を創出し、社会課題の解決に貢献することは、企業理念に象徴されるクリタグループの存在意義そのものです。社会の動向やサステナビリティに関する潮流をクリタグループの長期的な戦略に反映し、社会とともに成長する企業グループとして、社会との共通価値の創造に邁進していきます。