CTOメッセージ
Chief Technology Officer(CTO)久世 邦博からのメッセージです。
未来を見据え技術の競争優位性を磨き、社会と産業の課題に応えます

社会価値と顧客価値を起点に、競争優位性を確立
お客様や社会に対して、独創的かつ高価値なソリューションを継続的に提供するためには、既存のビジネスモデルの刷新と、競争優位性のある新たなモデルの創出が不可欠です。そのカギを握るのが、「技術」です。クリタグループにおける「技術」とは、研究開発にとどまらず、設計・生産・施工・メンテナンスなど現場での実装までを含む、技術のバリューチェーン全体を指します。したがって、個々の技術の専門性を深めるだけでなく、価値提供の流れ全体を俯瞰した技術戦略が求められます。CTOとしての私の役割は、この技術戦略を描き、事業戦略や人材戦略、グループ内外との連携を通じて、技術の競争優位性を効果的かつ効率的に発揮させることだと考えています。
クリタグループは、社会や産業の変化に対応しながら技術を進化させてきました。ボイラ向け水処理薬品から始まり、公害問題に対応する排水処理、電子産業の発展を支えた超純水製造、そして環境意識の高まりに応じたCSVビジネスの展開など、常にお客様の課題に向き合ってきた歴史があります。
PSV-27計画では、私たちは「顧客価値起点のトランスフォーメーション」と「社会価値起点のイノベーション」の2軸で技術的な競争優位性を確立し、価値にしてお客様や社会に届けることで企業価値を向上させることを目指します。既存技術の深化に加えて、社会全体を俯瞰して潜在的なニーズを捉え、新たな価値を創出する技術への挑戦を続けていきます。
技術戦略の三本柱:イノベーション・知財・生産
技術の競争優位性の確立に向けて、私たちは「イノベーション戦略」「知財戦略」「生産戦略」の三本柱で取り組んでいます。
イノベーション戦略では、水・エネルギー・資源循環の領域における既存事業の強化と、領域にとらわれない新規事業の創出を推進しています。食品製造副産物のアップサイクルや水中からの有価物抽出など、社会価値起点で前例のない分野での挑戦も始まっています。こうした取り組みをさらに加速するためには、従業員のマインドチェンジ、リソースの最適配分、進捗判断の明確化、そして時には「やめる勇気」も必要です。挑戦と撤退のバランスを取りながら、実効性の高いイノベーションを目指します。
知財戦略では、特許取得や侵害防止といったクリタグループの技術の競争優位性を確保する「守り」、IPランドスケープを活用した市場・競合分析を通じて、事業戦略と連動した知財活用を進める「攻め」の両面で取り組みを強化しています。2025年4月には、知財戦略部門をグループ全体の経営戦略を担うサステナビリティ経営戦略室に移管させ、より俯瞰的かつ戦略的な知財活動を展開しています。
生産戦略では、産業の特性に応じたアプローチを強化しています。半導体をはじめとする電子産業では、グローバルに広がる工場投資の事業機会に対応するため、水処理装置のモジュール技術を駆使した「EP+モジュール」のモデル導入や、AIによる設計の自動化や需要予測に基づく調達期間短縮など、フロントローディングの考え方を取り入れた生産プロセス変革の取り組みを進めています。これにより価値提供のスピードの向上とコスト競争力の強化を図っています。一般産業は、水処理薬品のコストダウンや安定供給に向けた、品目・物流網の見直し、環境負荷低減や安全性向上に資する原料への切り替えを進めています。

技術と人材の未来を描く
技術の進化は、人の成長と不可分です。私たちは技術者の活躍推進と育成を最重要課題の一つと位置づけ、技術分野と教育の体系を整備しています。2025年3月期には、クリタグループの保有技術を再整理した上で、社会・顧客価値起点で技術分類を見直し、事業部門と技術部門が連携して、事業戦略に基づいた技術ロードマップを再構築しました。これにより、技術者が「したいこと」のみではなく、「事業に貢献する技術」を明確に描けるようになり、これに基づく技術深耕・探索と適用拡大を進めていきます。
技術者の後継者育成においても、既存のスキル継承にとどまらず、将来必要とされる人材像を見据えた人材マッピングを開始しました。今後は技術分野ごとの目指すべき人材像を示しながらキャリアパスを整備し、技術者がより活躍できる環境づくりを進めていきます。
お客様の課題に応えることで技術を磨き発展してきたクリタグループは、これからは社会の潜在的なニーズも先取りして、未来の社会や産業の課題に応えていきます。そのためには、現場から経営までが一体となり、技術を価値に変える仕組みを強化していく必要があります。CTOである私が、技術間・組織間の連携を推進し、技術者と経営層の想いを繋ぐハブとなることで、グループ全体の技術力をさらに高めていきます。
執行役 グループ生産本部長 兼 Chief Technology Officer(CTO)
久世 邦博
- このページは、統合レポート2025のCTOメッセージを掲載しています。